( side 王子 )


「いやー、お疲れ!」


「……拓真、アンタ、なんでそんな元気なのよ。美咲センセのことはもういいわけ?」


「や……なんか、お前が可哀想だなって…」


「――どこが!?なにが可哀想だっていうのよッ!?」


しれっとそんなことを言う拓真に苛立つ。

ずっと落ち込んでた癖にいきなりニコニコ笑いやがって。


「お前にも失恋フラグじゃん?良かったなー、ライバル登場」


「失礼ね。そんなフラグ、へし折ってやるわよ」


「…うぜぇ」


「それにしても……なんなのかしらね、あの子は。あんな簡単に抱き締められちゃって!ホント、心配だわァ…」


「ストーカーに心配されたくねーよ」


「うっさいわね!誰がストーカーなのよッ」


「テメェだよ、金髪野郎。ちょっと見てくるっつって、姫乃チャン達の後つけてったじゃん」


「見守ってただけじゃないの」


だからそれが~…とかなんとか言ってる拓真は無視して明日の準備をする。

明日はもう帰る日だ。