「………えーと、……お…王子?…ど、どうしたの…?」


無言の気まずい状況が続くが――…何か言わなきゃ、と思ってびくびくしつつも声を掛ける。


「あぁ…、姫がいないから、どこに行ったのかなーって思って」


探してたの、と思ったよりも明るい声でそう言った王子にちょっとほっとして、息を吐く。


「あ、…ご…ごめんね……ちょっと…その…さ、散歩…?」


「──そう。でも…危ないから、気を付けてちょうだいね。……花火は──楽しかった?」


「え…?…あ…うん!楽しかったよ、すっごく!……今度は、もっと大きい打ち上げ花火が見たいね」


「そうねェ。──ああ、そうだ。そういえば来週、お祭りがあるわ。打ち上げ花火もあるわよ」


「そうなんだ!」


お祭り、かあ。

きっと都会は人も多いんだろうな。
私、田舎の盆踊りしか知らないからな…。


「一緒に、行きましょ?」


「……えっ、いいの?行くっ、行きたいっ!」


「もちろん。

 じゃあ、約束…ね?」


すっと、王子が手を差し出した。


ゆびきりげんまん。