「その子のこと、離してもらえるかしら?」


王子がそう言って──嵐くんは、ようやく私を離してくれた。

急になくなった温もりに、ほんの少しだけ――…寂しさを感じる。


「……じゃあな」


「──えっ!?…あ……嵐く…っ!」


足早に去ってしまった嵐くん。


何も──話せていないのに。


一応…ごめんなさい、とは言ったけど…納得してないような…そんな感じ、だったし。


ど……どうしよう?


そして──…、


王子と二人きりのこの状況も──…どうしよう。