いきなりのことに、動揺する。

温もりがあたたかくて――…せつない。


「……あ…嵐くん…あの……は、離し──」



「なに、してるのかしら」



ガサリと葉っぱが動く音がして、聞こえた声。


「……王子…?」


首を捻っても姿は見えなくて。

私の真後ろにでもいるのだろうか。


顔を上げれば、嵐くんが私を抱き締めたまま、鋭い眼差しで真っ直ぐ先を睨みつけていた。


「……………」


私のことを離そうとしない、嵐くん。


ど――…どうしたら、いいの?