だって──……、

そんな風に私のことを見てくれているだなんて、全然知らなかったから──…



だけど――、


「…ごめん、なさい」


頭を下げて、言った。


嵐くんのことは──“好き”だけど、たぶん、

嵐くんが欲しい“好き”とは違う“好き”なのだと思う。


友達──だから。


「………俺じゃ、駄目か?」


「………ッ…」


いつの間に目の前に来ていたのだろう、嵐くんに両肩をぐっと捕まれた。


込められた力が──…

少しだけ、痛い。


「…ずっと、好きだった。小さい頃から──、ずっと」


真剣な眼差しに、真剣な声に、戸惑っていると──…身体があたたかな温もりに包まれた。


力強い腕。

軋む骨。

止まる息。

頬に触れる嵐くんの赤い髪。


私は、いま、嵐くんに抱き締められている──…


「……ッ…!」