「あらやだ。もう休み時間終わっちゃうわね。早く移動しましょ」



王子がそう言ったので時計を見てみれば、休み時間があと2~3分で終わりそうだった。


教室を見渡せば私達しか残っていない。

どうやら次は移動教室らしい。


時間割り、まだ頭に入ってないんだよねぇ…

早く覚えなくちゃ。



「あ?移動?次、なんだ?」



「うふふのふーい!たっくんのだぁい好きな、音楽ですよん!」



海ちゃんがチェシャ猫みたいににまにましながら答えた。

どこか意味ありげな口調で。



「拓真くん、音楽好きなの?」



「……別に」



まだにまにましている海ちゃんを一睨みして、拓真くんはスタスタと先に行ってしまった。