乙女系王子様

「まあ…可哀想ではあるけれど、いつかは知ることだろうし、良かったじゃない。傷は浅いわ」


さらっと言う亜希も、どこか他人事のようだった。


「そ……そうかもしれないけど…。せっかく来たのになぁ…なんだか拓真くんに悪いや…私が誘わなきゃ…」


「んん?姫乃が気にすることじゃないよぉ。まあ…これも旅の醍醐味!傷心旅行!」


「あは、うまいこと言うわね」


「海ちゃん…亜希…」


がっくりうなだれる。


「でも…なんか、してあげられないかなぁ…?」


「たっくんならほっとても大丈夫だと思うけど。切り替えるの上手だし。……でも、そうだねぇ。せっかく旅行に来たんだし、何かやりたいよねぇ」


「うーん……あ、花火とかする?貰いものがたくさんあるのよね」


「亜希、それほんとっ?」


「いいじゃん、花火やろうよ!よし、明日の夜はバーベキューで花火で失恋パーティーだねっ」


そ…それを…言ったら…

ダメなんじゃないかな??