乙女系王子様

「ふーん…失恋…か」


「あ、嵐くん?どうしたの…?」


すごい顔してる、とは言えなかった。

なんだか、遠くを見つめるような…祈るような…微妙な表情をしている。


そんな嵐くんが、ぐっと顔を上げた。その目は力強くて、何かを決心したようだった。


「……姫乃、俺──ッ」


「姫乃!こんなところにいたの。ちょっと来てくれる?」


「え、あ、うん」


嵐くんが何か言い掛けたところで、亜希がやって来た。

なので、ごめんね、と断り亜希の後ろを着いていく。


ふと振り返れば、嵐くんが海ちゃんに蹴られていた。

……な、なんでだろう?

仲良しだなぁ…。