「それに、ぜっっったい性格悪ィぞ、アイツ」


「……へ?なんで?そんなことないよ」


「いーや!あるね!お前、騙されてンぞ。っつーかカフェの客もだいぶ騙されてるな」


「ええー!?」


そりゃあ、意地悪なところもあるけど、王子は、優しい人だ。


たしかにカフェのお客さんは女の人が増えた。

王子目当てだの拓真くん目当てだの言われていることも、知っている。


「あのなァ、ニコニコしてたって腹ン中でなに考えてるかなんて誰にもわかんねーんだぞ?だから──、」


「姫?まだ着替えてなかったの?」


声がしたほうを見れば──…着替えを済ませた王子が立っていた。


「…あ……王子…」


今の会話――聞かれていたのだろうか?


「──チッ」


嵐くんが小さく舌打ちをして部屋に入っていく。


「誰の──性格が悪いのかしらねェ?」


「ッ!?」


や、やっぱり聞かれてたー!?

お…お…怒って…る!?