乙女系王子様

***


その日の夜。

なんだか寝付けなくて、飲み物でも飲もうと一階へ降りる。


「…………」


──静か、だ。

引っ越してから住んでいるところは人が多いからか、やっぱりうるさい。
道路の喧騒とか隣の人の生活音とか色々。

窓から差し込む月明かりを頼りにリビングまで行き、大きなソファに座る。

ふかふかで沈んでしまいそう。

しばらくしてそのまま──…寝てしまいそうになっていたところに、


「姫?」


「──ッ!?」


王子が現れた。