「姫は夏休みどこか行くの?」


前に座っている王子とばっちり目があって、そう聞かれた。


「うん。地元の友達のとこに。一週間くらいかなぁ…」


「ええっ、一週間も!?たくさん遊ぼうと思ってたのにィ」


「バイト辞めたからたくさん遊ぼうと思ってたのにィ!」


「──は?お前、また辞めさせられたの?」


王子に続いて言った海ちゃんの言葉に、拓真くんが鋭い突っ込みを入れる。


一瞬、間が空いた。


「や、やだなぁ!たっくん!辞めたんだってばぁ~」


辞めた、の部分を強調して明るく海ちゃんが言った。


えーと……?

クビになったということだろうか?


「………何度目かしらねェ」


王子が遠い目をして、そう言った。

えっ…そうなの…?