──高校デビューと称して、別の自分を作った。


「………さぁね」


「別に、いいけど」


自分から聞いてきたくせに、興味なさそうに言う拓真。

──…だったら聞くな。


「で?姫乃チャンは何なの?」


「何って……何よ」


「今日、何かしただろ」


「……あー」


――後ろからぎゅーして耳を噛んだ、だけ。

耳まで真っ赤になった姫がすごく可愛くて、つい意地悪をしてしまった。