試験一日目、残り一教科。


「あとは古典が終わったら帰れるわね」


「……そ、そうだね」


──普通だ。

いや、今までも王子の態度が変わったことはなかった。

だからこそ──…ただのスキンシップなのだろう。


拓真くんに絡みついて邪険に扱われているのを見たし(あれはイヤガラセだろうか)。

海ちゃんと手を繋いでスキップしながら飲み物を買いに行っているのも見た。

……これにはすれ違う人々の視線が釘付けだった。

だって王子がスキップ…!
(笑いを我慢出来なかった)


でも──…

今は、試験に集中しよう。


「そうそう。アイツなんか無視しときゃいいんだって」


「──ッ!?」


「たっくん、何言ってるの~?」


固まる私と、急に声を発した拓真くんに首を傾げる海ちゃん。

……心、読まれた!?
拓真くんはエスパーですか!?