──バサッ

持っていた英語のノートが手から滑り落ち、音を立てた。


「ッ!?…な、ななな…何す…!?」


「──姫なら大丈夫よ。たくさん頑張ったもの。…じゃあ、ね。拓真に最後の悪あがきさせてくるわ」


私の頭をポンポンと軽く叩き、そう言って拓真くんの元へ行ってしまった王子。


──今、のは…?


和ませようとしてくれたのだろうか?


たしかに、緊張はなくなったけれど頭の中が真っ白になった。


王子の顔を見ることも、今の行動の意味を問うことも、何も出来ないまま──…試験一日目が始まった。