「あ…あの…王子?…痛い、デス」


ぎゅうううっと抱きしめられて、ちょっと苦しいし痛いし…なにより、恥ずかしい。

クラスメイトは誰も私たちを見ない(見てもそのままスルーだ)けど……やっぱり恥ずかしい。


「…──離して、欲しい?」


「──…ッ…!?」


少しだけ腕の力が弱まったと思ったら、王子のテノールの甘い声が耳元で聞こえた。


まるで──囁くように。


吐息が首筋をかすめた。


ぞくりと、背中に甘い痺れが走る。