クスクスと、笑いの止まらないらしい王子が憎たらしい。


「──…じゃあ、ね。試験頑張りましょ。早く寝るのよ」


くしゃっと頭を優しく撫でられる。


「……王子も。気をつけて帰ってね。…送ってくれて、ありがと」


「……どういたしまして。おやすみなさい」


最後に綺麗な微笑をひとつ残して帰っていった王子。


キラキラと光を反射して輝く金髪。
深みを増した綺麗な蒼い瞳。


月明かりに照らされた王子は美しくて──…最後まで目を合わせられなかった。



( 帰り道 end )