わかってきていたはずなのに…王子の性格は。

優しそうな顔をしていても実は――おちゃめなのだと。いじわるなのだと。

分かっていたのに──…また、ハマった。


手を離そうとブンブン振るが、

──…離れない。


「えー?からかってなんてェ……ないわよ?」


「~~ッ、その間が怪しいっ!」


しかも、意地悪そうな笑顔だし。もう騙されないんだからあっ!

そんなやりとりをしてる間に、家に着いた。


「アリガトウゴザイマシタ」


ふて腐れて、カタコトで挨拶をする。
それがツボにハマったのか、笑い出す王子。


「ふふっ──…やあねェ…姫ったら。そろそろ機嫌直してちょうだいな」


プイ、と顔を横に向けて無視する。

怒ってるんだからね。
何度も何度も…騙されないんだからねっ(騙されてるけど)。