「……こういうところが心配、なのよねェ。上ばっかりみてるからよ?」


クスクスと笑う王子。

そっと身体を離されるけれど、まだそこに温もりを感じていた。


「……ひーめ?」


「──ッ!…あ、ありがとうっ、大丈夫っ!」


「そ…そう?」


2、3歩…王子から離れて歩く。

ぎくしゃくしすぎて右手と右足が一緒に出てしまった。


「──…、姫」


優しい声で呼ばれて、顔を上げる。


王子のほうを見れば──…

左手が差し伸べられていた。