2人は用意された宿の部屋でその日はまず休息をとらせてもらうことにして、翌朝、子どもたちの救出に向かうことにした。


宿屋のベッドでとにかく体の疲れだけでもとりたいと思ったが、ベッドルームに入ったまひるは大声をあげた。


「え゛えーーーーーー!やだぁ、なにこれ?
ベッドが1つしかないじゃない!!

それに形がものすごくエッチな気がするんですけどぉーーー!」



「う・・・確かに、これはとてもおまえの想像でできあがるものではなさそうだな。
ベッドが丸いだけじゃなく、バスルームの壁がガラスで見えまくりか。

いやらしい小物がつめあわせになっているのも、できすぎている。」



「どうしてそこでそんな冷静に解説してるんですか!
わ、私・・・ソファでいいですから。」


まひるが慌ててリビングへ出ていこうとすると、智房がまひるの腕をつかんでベッドに押し倒した。


「きゃあ!!!や、やだ。やめてくださいよ。
同じ大きさになったからって・・・いやあ、やめて!」


まひるが大声で騒ぎ、手足をばたつかせたので智房は咄嗟にまひるの体に覆いかぶさりキスをした。


「うぅ・・・(いくら禁欲生活になっちゃったからって、こんなときに・・・もう。こんなの初めてでどうしたらいいの・・・。)」



「暴れるな。俺たちは監視されている!俺にあわせていてくれ。」


「へっ!?監視・・・。だけど、この状況では私・・・。
課長みたいにこういうのは手馴れていませんし。」


「手馴れてるだとぉ・・・そんなことをどの口が言ってるんだ!はぁ~」


智房がまひるの口を強く指でつかんでにらんでいる。


「いたぁ~い・・・ごめんなさい。だって、私よりはこういうシチュエーションは体験してるんじゃないかと思っただけで・・・。

私、1回来たことはあるんですけど、怖くて逃げちゃったから初めてだもん。」


「愛してもいない相手なら、逃げて正解だ。
けど、今は俺を打ちのめさないでくれよ・・・愛し合ってるフリをするんだ。

ここは古い時代の村がすべてではないらしいからな。
これだけ現代の・・・いや、最先端技術も取り入れられているということは
簡単にいうとメチャクチャな世界だ。

何とかして、もとの俺たちの世界にもどらないといけないということだ。」



「愛し合ってるフリなんて・・・このままじゃ眠れない・・・。」


「何もしないからこのまま何とか眠ってくれ。
この無防備な状況では何か起こった場合対処不能だからな。
ああ、泣くな。頼むから・・・」


困った顔をして自分の目をじっと見つめる智房が、小さくなって裸で困っていたときと同じだったので、まひるはプッと笑った。


「トムにそんな顔されるといい子にしなきゃ・・・って思っちゃいますよ。
いい年をしてかわいいんだから・・・。
おやすみなさい。寝相が悪くて何かしちゃっても許してくださいね。」


「どんな寝相なんだ!?まあいい・・・おやすみ・・・。」