SAKURA【短編】

『はい…確か、小説で…
読んだことあります』


出だしの一文に
凄くインパクトを受けた事を
今でも覚えていた
正直にその事を伝えると


『あの話は違うね
死んだものから美しさは得られない
何故、桜の花が
時に人を狂わせてしまうくらいに
美しく咲くのかを
僕は知っているけどね』


恐ろしいくらい冷たい笑顔だった
けれど、不思議と怖さはなかった


『そうですか…』


とだけ答え、その場を去ろうとしたら
不意に手を取られ
そのまま、唇を奪われた


桜の木に私を押し付け
繊細そうな見た目とは違う
とても荒々しい口づけだった