こんな夢を見るなんて、あたしどうかしてる。


時間はまだ朝の6時過ぎた。


二度寝したいけれど微妙な時間帯。


仕方ない。

早めに行く準備をしよう。


あたしはそう決意して、寒いけれど顔を洗いに洗面台に向かった。


もう3学期が始まり、もう二月の半ば。


あたしは今までとどこか変わっていて、景色が明るく思えた。


心が軽くなったからか、空気が澄んでいるようだった。


あんな夢をみてしまったのは、昨日明音に同じことを言われたからに決まってる。


『ねぇ渡さないの?』

『何を?』

『もうすぐ
バレンタインだよ!!』


あぁ、この一言に決まってる。

絶対にそうだ。


「最悪…」


そんなこと言いながらもバレンタインという言葉に少し、ほんの少しだけ反応してしまった。



学校に行くと、もうバレンタイン前ということもあり、女子も男子も浮き足だっていた。


去年も確かすごかったんだよね。


「おはよ!」

「お前か…」


朝の夢といい、このタイミングで明音が来るなんて。