***


ここはどこだろう。


妙に汗ばんで、気持ち悪い。


「…ねぇねぇ」


誰かがあたしを呼んでいる。


きょろきょろするけれど、その姿はどこにあるのか分からない。


「ねぇってば!」


それでもずっとあたしを呼ぶ女の子。


この声は確かに明音だ。


すると彼女はあたしに話しかけてきた。


「ねぇ渡さないの?」


渡すって何を?


「もうすぐ
バレンタインだよ!!」


それってチョコを渡せって言ってる?


「それから
早く言っちゃいなよ」

「…何を?」

「とぼけないの!」


何もとぼけてない。

何も言う事なんてないよ。


「だから、
好きって言おうよ!!」


あ、そのことか。


何度も何度も言うけれど…


「…言わないってば!!」


はあはあ


あたしはガバッとベッドから飛び起きた。