彼は一瞬唖然としたように沈黙した。やがて、深いため息と共に憤慨するように呟く。

「……ったく、人の気も知らないで、何てことを言うんだろうね、君って人は」

「………」

「君に会えなかったこの数か月、ぼくは、まったく死んだようだったのに」

 そこでエヴァンは言葉を切って彼女をまじまじと見つめた。

 彼の表情がゆっくりとほころび、微笑が顔に明るさを投げかける。

 彼はローズの言葉の持つ意味に――彼女の心の変化に――気づいたのだ。

 ノックの音とともに、医師が診察にきたことを執事が告げた。エヴァンは立ち上がると、にっこりした。

「今から君は何も考えずに休息を取らなくてはいけない。診察が終わったら食事を運ばせるよ。食べたらもう一度ぐっすり眠るんだ。君が元気になったら、話なんか、その後毎日一生できるさ」


 そして医師を部屋に招じ入れた。