必見・夕暮れの陰陽部!【短編版】



* * *


「あの、鈴木さんは?」

翌日の放課後、さっそく鈴木を呼びに行こうと行動に移った晴也だが、

いつの間ーーー晴也がほんの僅かだけ細川に明日の提出物を教えていた間に、

鈴木の姿はなくなっていた。

ので、慌てた晴也は、こうして細川に助けを乞うているのだ。

「え?鈴木さん?

あの静かな子?」

「うん」

「出席番号が十五番から二十番の人は……今日は生徒相談の日じゃなかったか?

お前、昨日だったろ」

「う、うん」

「鈴木さんはサ行だから……

たぶん、いちばん最後の二十番じゃね?」

晴也は、細川がさりげなく口にした言葉に動揺する。

生徒相談は、懇談と違って生徒と教師が差し向かって、学校生活について質問を受けたりする。

そのため、場所としては静かな部屋で行われる。

「なあ、熱でもあんのか?」

細川が晴也の顔色を伺い、半ば本気で懸念してくる。

普段から軽めの調子の細川なだけあって、真剣になると違和感があった。

(生徒相談は、農業科の多目的室!)

吉郎曰くのーーー今はもう使われていない教室、である。

晴也は鈴木よりも前に生徒相談を受けていた。

だから、どこで相談が行われているのかを存じている。

そして、誰が担当をするのかも、だ。

(担当は、神崎先生)

鈴木が神崎に何かするといる兆しがあるわけでもない。

ましてや、その霊が悪霊とも限らぬし、よりによって神崎を襲撃しはしないだろう。

しかし、晴也は心配になった。


……なぜなら、晴也が「まさかね」とおもったことは、だいだい運悪く当たったりするから、である。

やらないよりはまし、というものだ。

突如、晴也はその場から屹立した。

がたり、と机が揺れる。

「ごめん、僕、ちょっと先に帰る」

「やっぱ具合悪いのか」

「そんなところ」

「おお、わかった。

んじゃなー」

細川の仕草だけが、非日常とはかけ離れた、

平凡だが安寧な気分にさせた。