部室に着けば、彼ら腐男女のテンションは最高潮に達するばかりであった。
「それで、山内君は死んでしまったけれど、幸村君は山内君への恋心を抱きながらアイドル活動を続けていくんですよ!」
「ぴゃーっ!もう最高!チョー最高!
やっぱりいいねえ、『売れっ子アイドルに愛されたカメラマンの恋』。
まじで切ないわあ」
どこが切なくてどこが最高なのか。彼らの趣向はいまいち分かりかねる。
とうとう耐えかねて、晴也はついに起立した。
「あの、先輩。ここって学校方士活動部ですよね。あと、あの川に線香たてに行くんじゃなかったんですか?」
「あ」
吉郎は、うっかり忘れていた、の面である。
「あ、じゃありませんよ。
なにど忘れしてんですか、祟られますって。それは流石に」
「はは、すまんなあ、まじで」
すまん、などとのまたく様は、なんだかいつにもまして不自然で、かつ、わざとらしい。
(さては……)
この先輩め、一人残ってやる気だったな。
晴也は後輩の立場だとか言葉遣いだとかを脳中から吹き飛ばし、まったくこの人は、とばかりにため息をついた。
(なんでそういう所にばっかり、心配してんだろう)