ああもう、この人たちときたら、なんでろくなことを考えてくれないんだろう!

 おんおんと頭をかかえる晴也の肩に頬をつけ、「おう、そうかそうか」と甘えるように吉郎がしなだれかかってくる。

「そりゃ、こんなしみったれた部活の部長よりは、輝かしいバレー部のエースのほうが惹かれるかもしれんけどなあ。

でも俺、気持ちだけは負けへんよ?」

「ちょっと!あんたは僕とどういう友好関係を築こうとしてんですか。

友好っていう関係どころか、なんか、別の関係を作ろうとしてるみたいなんですけど」

 腐女子と腐男子の挟み撃ちにあい、晴也はすでに疲れ果てている。

どんどん立つ瀬がなくなっていった。

「まあ、こんな所におってもなんやから、部室まで行こか。

菓子でも食いながら話そうや」

「僕、もう喋る気が失せました……」

 そんな晴也を、吉郎は少女漫画的な運び方で部室まで拉致していく。

その傍らでは、

「いいですねえ、リア充すぎますよ晴也君!」

 などと花子が人の気も知らないで騒ぎ立てている。

(この人たちは僕に安息の場所をくれないのか……?)

 ほとんど紛い物の廃人になりつつ、晴也はなんとか精神的な疲労に耐え抜いていた。7