先生と私は仲がいい。
私は多分、先生のお気に入り。
他の人にはわからない、だけど私にはわかるように、先生は少しだけ、特別をくれる。
嬉しい。
けど、苦しい。
私はお気に入りの生徒以上にも以下にもなれない。
ーーキーンコーンカーンコーン
授業の終わりを告げるチャイムがなる。
先生はその音につられるように少しだけ上を見上げて。
「授業終わります。号令お願いします。」
号令を促した。
「……。」
気をつけ
礼
ありがとうございました
無言で一連の動作をし、席にもう一度座る。
前を見上げたら、先生のしっかりとした力強い綺麗な文字が、黒板に羅列していて。
得たいの知れない、どうしようもできない感情が、私の中をうづまいている。
「…あ、望月!」
不意打ちだったの。
私たちの教室を出て行こうとした先生が、ピタリと足を止めて。
先生を視界にいれれば、先生は軽く微笑みながら、私を手招きしている。
先生の方から、一日に二回も声をかけてくるなんて。一体今日はどうしちゃったんだろう。

