中村先生が、私のシャーペンに気づいても無視するような、そんな人だったらよかったのに。 そしたら、私は素直に中村先生を批判することができたし、キライになれた。 もっともっと文句も言えたし、文句をいうことに罪悪感を感じないでいられたのに。 中村先生は、好い人。 その事実が私の心を、ぎゅうぎゅうに縛り付けて。 中村先生のこと、キライなのに、本当にキライになれない、自分自身に苛立った。 中村先生は相変わらず、泣きそうな声で数式の説明をしていた。