グッバイ・ティラミス




確かに、私は先生との付き合いが他の生徒より深い。これは多分、自惚れじゃない。

先生は、私のことを可愛がってくれている。
あからさまに見てわかるように他の生徒と差別はしないし、たくさんの人の前ではそれは一切わからないけれど。


例えば、個人的に英語を聞いてるとき、雑談をしているとき、それは見えるようになる。



だけど、所詮は生徒と先生なんだ。

いくら頑張ったって、先生と生徒には見えない一線が存在して。


私はそれを超えることができない。
先生のプライベートにまで踏み込めない。



こんなに話していて、こんなに打ち解けているのに、私は先生に彼女さんがいることを知らなかった。
先生は、ばれそうになった時まで、それを私に隠そうとしていた。



なんだか、悔しい。


「どこがわからないのー?」



先生が、問題集を覗き込む。
急接近するこの時間はドキドキして、熱が一気に上昇して、やっぱり苦手だ。
だけど好きだ。