池内くんが高校を卒業して、就職が決まってからはデートの回数も減り、会う数さえも減ってしまった。


だから今日のデートを楽しみにしていた。


なのに……



『プルルルル』


コートの中に入れていた携帯が震え、ディスプレイを見ると池内くんからだった。


「もしもし?」


通話ボタンを押し、電話に出る。