「・・・広くん」




2人で下駄箱に行くと広くんが待っててくれた。佑衣ちゃんは先に帰るねと広くんに会釈をして先に帰って行った。





「ちゃんと話せた?」




靴を履き替えて並んで歩く帰り道。


本当は広くんにたくさん言いたいことがあるけど佑衣ちゃんと約束したもんね。


でも嬉しかった。


広くんが佑衣ちゃんに話してくれたこと。


だから全部の気持ちを込めて広くんの左手をギュッと握った。





「ど、どうしたの?」




「ん?私、7組のゆいちゃん卒業しよかなと思って」




「えっ?」




「3組の咲紀子ちゃんになりたいな。だから広くん勉強教えてくれる?」










そして私はこの春、3年3組の唯野咲紀子になる。でもそれはまだこのときには分からない先のお話。