── ─── ──── キーンコーンカーンコーン… 「さよーならー」 帰りの挨拶をして、 雅は鞄を持つと席を立った。 無言で下を向き、歩いて行く。 そして、教室から一歩出ようとした、その時だった。 「桜川さーん」 「…!」 その甘ったるい声に、 ビクッとして立ち止まる。 「あのさ、私の宿題代わりにやってきて」 「……」 「…ちょっと。聞いてる?」 「あ……。はいっ…」 雅がそう返事をした途端、相手はぱっと意地悪な笑顔になった。