桜廻る




雅は受話器を元の位置に戻し、再び食卓へ向かった。




「土方さん、あの……」


「……何だ」





何でもなさそうに、魚を食する土方。


雅も再度箸を手にし、ご飯を口に入れた。





「あの、お父さんが……」


「あぁ」


「お父さんが近いうちに、ここに来るそうです」





雅は、どう土方から返事が来るか、緊張していた。




(もしかしたら……。ここを、出て行っちゃうかな……)





土方は思わず、箸の動きを止める。


眉間に皺を寄せ、






「お前の父上が……?」





そう、驚愕の声を上げた。


ピシ…と、張り詰めた空気になる。