──昼。
土方が作ってくれたお握り。
(美味しそう)
密かに楽しみにしていた、ラップで包まれているそれを開こうとする。
……しかし。
「……!」
バッと、それを誰かに取り上げられる。
「なーに、食べようとしてんの?」
「あんたにこんなの、必要ないでしょっ!」
ぐしゃっと、無惨にも、お握りが床に叩き落とされた。
思わず唇をかんで、杏奈を睨む。
「……何?」
雅の目を見た杏奈は、さらにお握りを踏み潰す。
ラップから少しご飯がはみ出し、中から見えてきた、黄色い何か。
土方の事だから、また何か珍しいおかずを入れたのだろう。

