桜廻る




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発信源は、家。



……土方だ。



授業が終わり、廊下に出て、再度かかってくる電話に答える。






「もしもし……」


『……み、雅か』


「そうですけど……。よく使えましたね」


『あぁ』


「それで、どうしたんですか?」






そう聞くと、土方は一旦間を置いて、






『……厠(かわや)はどこだ』






しばらく、沈黙が流れる。






「何ですか、厠って。何をする所ですか?」


『小便をしてぇんだが……』






……道理で伝わらないわけだ。






「トイレは、玄関の近くにあるので、そこ使って下さい」


『……玄関の近く…。分かった』


「はい。水は、自動で流れますので。……それでは」






プツ……と電話を切る。


次の授業があるため、雅は、教室へ戻ったのだった。