桜廻る





「幕末を生きた人物で、特に好きだ、という人を一人あげて下さい」


「え……」





……分からない。



何しろ、今までは全く興味がなかったのだから。





「い、いません……」





正直に答える。





「そうですか。今度また聞くので、考えておいて下さいね。じゃあ、座って下さい」


「……はい」





座った途端、今度は、ポケットの中に入っているケータイが、振動し始めた。



止まったかと思えば、また動き出す。






(誰?こんな時に……)






そわそわしながら、授業が終わるのを待った。