「永瀬、君……」 いじめを、止めてくれたのだろうか。 何て言おうか、雅は悩んでいた。 ……しかし。 「桜川、お前はもっとムカつくんだよ。嫌なら嫌ってはっきり言えばいいだろ。そうやってうじうじしてる女、見ててすげぇ腹立つんだよ」 きつく睨まれ、雅の体が縮まる。 「……すみま…せん」 「あー。そういうとこだよ。うざい。だからいじめられるんだよ」 チッと短く舌打ちをし、永瀬も自分の席へ向かった。 ただ呆然と、倒れた机を眺めていると、チャイムとドアを開く音が同時に響き、担任が入ってくる。