その時だった。 「おいおい、お前も飽きねーなぁ!上本!」 ビクッと、手が止まる。 永瀬龍斗(ながせりゅうと)──。 クラスの中でも、結構目立つ男子だ。 「うっさいわねっ!」 イラッとして、思わず大声を出す杏奈。 「女子ってほんとくだらねぇよな!」 「……」 ぐっと、唇をかむ。 「永瀬、あんたには関係ないでしょ!」 「はいはい。てめぇはお嬢様気取りだもんな、上本」 「な……っ」 杏奈は永瀬を睨むと、自分の席へと戻った。