雅は不満そうに、顔を歪めた。 「教えてくれたっていいのに」 「はっはっはっ。これは、土方君との秘密だから。我慢しなさい」 父はそう言うと、明るく笑った。 それを見ていると、雅もつられて笑ってしまう。 その時だった。 「──時間です」 そう、落ち着いた時猫の声が聞こえてきたのは。 父は名残惜しそうに、雅を見つめた。 「じゃあ、な。雅……」 「うん……。お父さん、今までありがとう」