桜廻る





最初の雅と同じように驚いているのだろう。


そして……雅を見付けると、目を丸くした。





「雅……雅か?今まで、どこに行って……」


「お父さん、私の事、覚えてたの?」


「当たり前だろう。大事な一人娘を忘れる父親がどこにいるんだ」





そう父は、冗談めかすように笑った。


雅はそんな父に安心して、今までの経緯を話した。


土方は、母が現代にタイムスリップさせたこと。


自分も幕末に行ったこと。


さっきまで、母と話していたこと……。





「それで、お母さんからお父さんに、伝言を預かったの」


「伝言……?」


「うん。──“貴方は悪くないです、大好きです”って」


「……。佳奈が、そんな事を……」





静かな空気が流れる。


父は、少し涙を浮かべた。