桜廻る





玄関で、上履きを履こうとする。


……しかし。





(ない……)





上履きは、なくなっていた。


唇をかんで、靴下のまま廊下を歩いて行く。


2年4組の教室が見えてきた。


足を踏み入れれば、ドキドキと緊張が高まっていく。


自分の席まで行き、カバンを机の上に置いた。





「あれ?桜川さん、上履きどうしたのー?」


「……!」





後ろからは、杏奈の声。


楽しそうに笑っている。





「そうだ。私の宿題、やって来てくれた?」





(あ……!)