桜廻る





「……分かりました。会うのは生者同士ですから、代償はいりません。しかし、もう現代には戻れなくなり、あなたは幕末の時代で生きる事になります。それでもいいですか?」


「はい」





父が雅の事を覚えているか。


それは分からない。


幕末に行ったのだから、忘れている可能性は大きい。


それでも、そうしっかりと返事をすると、時猫は、再び大きな輪を取り出した。


キラキラと輝き……


目の前に、今度は父が現れる。





「ここは……」





父は、瞬きを繰り返し、あたりを見回した。