桜廻る





しかし本当にいた。


温もりも、声も、笑顔も。


さっきまで、すぐ目の前にあった。





“幸せになって”





母から、雅への思い。


だったら……


幸せになる事が、何よりの親孝行だ。





「あの、時猫さん」


「何ですか?」


「お母さんから、桜の花弁を一枚もらったんです。……これで、お父さんに会わせて下さい」





時猫は少しの間考え、頷いた。