桜廻る





「何を、してるんですか?」





母は相変わらず、雅を抱きしめる。


どんどん、姿が消えていく。





「死者と生者が会う。それには、一つの条件がいります」


「え……?」


「──魂一つ。それと引き換えにするのなら、会う事が出来るんです」





(そんな……っ)





魂一つ。


魂がなくなれば、完全に、この世から姿が消え去る。


生の世界ではもちろん、死の世界からも。


……母が雅に伝言を頼んだ理由が、これで分かった。