母はもう一度、雅の体を抱きしめる。 「ありがとう、雅」 「うん。大丈夫、ちゃんと伝えるから」 「良かったわ。……こーんな、優しくていい子に育ってくれて」 ふふ、と母は笑う。 しかし……だんだん、その温もりが消えていく気がした。 (え……) ふと視線を上げると。 母の姿は透けていて……その先に、時猫が立っていた。 ──時猫は、大きな輪を出していた。