「それで現代に帰ってもいいし、使わなければ、また幕末に戻れるの」 「……」 (そんなの……) 答えは、決まっている。 「私……現代にはもう、戻らない」 そう言うと、母はやはり、笑顔をもっと深めた。 「……そう」 そして、またしばらく静寂が流れる。 でも、心地よかった。 雅の心は落ち着いていた。