桜廻る





「あのね、雅」


「何?」


「お母さん、五回、人をタイムスリップさせる力を、時猫にもらったの。桜の花弁、一枚につき一人」





……五回。


母は、時猫から桜の花弁を五枚もらった。


一枚につき……一人。





「土方さんを二回、雅も二回タイムスリップさせたでしょ?」


「うん」


「あと一枚、残っているの」


「……」





(そっか……)





「この一枚、雅にあげるから」


「……えっ?」





そう聞き返して母を見ると、優しく微笑んでいた。