気がつけば、あたり一面、真っ白な世界にいた。 しかし雅は、ここに来たことがある。 ──生と死の狭間。 唇を噛みしめる。 (このまま私は、現代に?) 悲しくて涙が溢れそうだ。 せっかく、土方と幸せになれると思ってたのに……。 その時だった。 チリン…… 何度も聞いたことのある鈴の音が響き、あの猫が、姿を現したのだ。 ──時猫だ。