桜廻る





「お昼ご飯……。えっと、昼餉は、また冷凍食品でも食べておいて下さい」


「あぁ、分かった」


「あと、誰か来ても、出なくていいです」


「分かった」





でも、何だか心配だ。


メモ帳に自分のケータイ番号と電話の使い方を軽く書き、ビリッとはがすと、それを土方に渡す。





「何かあったら、この電話っていう機械を使って下さい」


「……これで何が出来るんだ」


「えっと……。離れてる人と会話が……」





雅はハッとして、時計を見る。





「すみません!もう行きます!」


「あ、あぁ。気をつけろよ」


「はい!」





誰かに見送られて学校に行くのは久し振りだ。


少しだけ、足取りが軽く感じられた。


ガチャッとドアを開き、雅は足を踏み出した。