桜廻る





繋がった気がした。


自分の気持ちが、土方の心へ。





「待ってます」


「あぁ」





土方は、体を離すと、表情をやわらげた。





「……行ってくる」


「はい。……ご無事で、帰ってきて下さい」





土方は雅に背を向けて、歩いて行った。








──明治二年五月十一日。


いつも通り戦場へ向かう土方の後ろ姿は、いつもに増して、大きく見えた。